主な病気

眼瞼痙攣

眼瞼痙攣

意に反して(不随意)、両眼の瞼(眼輪筋)の痙攣が起きる病気です。かすかにピクピクする感じの痙攣がたまに起きる程度から、まばたきが増加する場合、さらに瞼が閉じてしまって見えなくなる(機能的失明)こともあります。今のところ原因不明です。

眼瞼痙攣の治療

原因が分からないため根治療法がありません。

対症療法 内科的には神経の興奮を鎮める種々の内服薬を、症状の経過を見ながら使いわけていく場合がほとんどです。症状が多少なりとも、軽減することがあります。
手術療法
  1. 実際に動いている眼輪筋を取り痙攣を止める方法
  2. 眼輪筋を支配する顔面神経を部分的に切断する方法
  3. 合併する眼瞼下垂を治療する方法など

痙攣そのものは再発することがかなりあって、“これ”という決め手に欠く状態ともいえます。

※手術療法 1)2)について当院では行っておりません。

ボツリヌス毒素

ボツリヌス毒素とは食中毒の原因として知られているボツリヌス菌が産生し、神経から筋肉への伝達を阻害する作用を持つ神経毒素です。7種類ある毒素のうち、A型毒素が最も安定し強い筋弛緩効果を持つとされています。 食中毒の場合には、生きているボツリヌス菌のついた物を食べ、これが体内で増殖、毒素を産生し、この毒素が腸から吸収されて血液中に入ることによって、全身の筋肉を麻痺させてしまいます。

眼瞼痙攣に対するボツリヌス毒素による治療

ボツリヌス毒素の効果

ボツリヌス毒素には次のような症状に効果があります。

※日本では1996年、眼瞼痙攣の治療として保険適用となりました。

瞼の周囲約6ヶ所の眼輪筋に注射すると2~3日後から効果が現れ、約1ヶ月で最高に達した後、3~4ヶ月で効果が消失します。これは、もとの神経が生きているため神経の枝が延びて、筋肉に到達するのに約3ヶ月かかるためです。

症状が再発した場合

再注射をします。ボツリヌス毒素に対する抗体が生じると、 毒素の効果がなくなります。前例によると、投与した毒素の累積が2000単位以上になった場合に抗体が認められました。1回に使用する毒素はおおむね最大30単位のため、投与間隔を十分に取りながら必要最小量を使用することで抗体の産成を防ぐよう努めます。

副作用

過剰効果は時間の経過とともに軽減します。その他の症状は一過性のケースが多く、アレルギー反応の場合には投与を中止せざるを得ません。

類似した疾患

片側顔面痙攣

左右どちらかの顔面(瞼だけでなく次第に頬部や口唇、頸部なども)の痙攣が起きます。
原因としては、頭蓋内の血管や腫瘍で顔面神経が圧迫される場合があり、MRI検査を行うことがありますが、原因不明な場合も多いです。

治療

原因が明らかで、手術可能な部位、病変であれば脳外科などで根治治療が可能です。
原因が分かっても、部位、年齢などの要因で原因治療ができない場合は、眼瞼痙攣と同様にボツリヌス毒素による治療の対象になります。
症状のある部位に適宜注射しますが、副作用として眼瞼だけの場合のものに加えて、頬部の注射で口角が下がって飲んだものがこぼれやすくなったりすることもあります。こちらも時間の経過とともに目立たなくはなっていきます。